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パネル3

カミーユ・サン=サーンスと「クラルテ」概念
――多面的音楽家像を越えて――

 

コーディネーター
上田泰史(東日本支部)

 

パネリスト
上田泰史(東日本支部)
中西充弥(西日本支部)
安川智子(東日本支部)

 

コメンテーター
友利修(東日本支部)

 

 2021年、C.サン=サーンス(1835-1921、以下SS)は没後百年を迎える。本パネルでは20世紀初頭に焦点を当て、 clarté という概念をキーにして、SSの目指したものと同時代における問題意識を再検討する。元来仏語の文体の美点を指すこの概念をSSが改めて強調したのには、実に様々な背景がある。本パネルでは、SSにとってのclarté 概念を多角的に検討し「フランスらしさ」の意味を考える。

 まず clarté が問題となるSSの関心領域(オリエント、古代文明、自然史、歴史主義、ヴィーン古典派、ロマン主義等)を類型論的見地から炙り出し、問題圏と可能な視角を提示する(友利)。次に各パネリストが具体的な事例を扱う。

1)古楽復興活動(1895-1915)とclarté:ラモー全集の監修開始からサンフランシスコでの古楽講演までに期間を絞り、SSが新しい和声の論者たちと繰り広げた議論の分析から、彼の古楽研究を対独の防波堤として位置づけ、 clarté 概念に立脚したフランスらしさを構築する彼の戦略に迫る(安川)。

2)演奏に具現化された clarté:拍の均等な分割を練習原理とするSSの師C.スタマティの教育法および理論家M.リュシーが示す旋律装飾の演奏原則を検討した後、1904・19年に録音されたSSの演奏における旋律装飾と拍の関係を分析し、clartéの表現としての演奏の特性を示す(上田)。

3)SSの日本趣味とclarté:1910年、SSは日英博覧会で日本美術に接し、線描の簡潔さに魅了された。日本を題材とした彼の韻文詩『鏡』と同時期の《左手のための6つの練習曲》作品135(1912)を例に、彼の日本趣味が書法におけるclartéの深化に寄与したことを示す(中西)。

 各報告を受けて、コメンテーターがSS理解にとってのclartéの意義と定義を確認し、会場との 議論へつなぐ。

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