top of page

演奏&パネル企画

ヘルダーリンを通して見える20世紀ドイツ歌曲の新側面

 

コーディネーター&演奏
子安ゆかり(東日本支部)

 

演奏
藤澤彩子(非会員)
照屋篤紀(非会員)

 

パネリスト
中村 仁(東日本支部)
畠山 寛(ドイツ文学/非会員)

 

 本企画は、本年に作曲家ベートーヴェンと同じく生誕250年を迎える詩人フリードリッヒ・ヘルダーリンの詩の付曲作品からなるレクチャーコンサートである。ヘルダーリンは、現在ではゲーテとならぶ存在として知られている詩人であるが、19世紀には現在ほどの評価を受けていたわけではなかった。20世紀以降に一気に再評価が進んだ背景には、20世紀の作曲家たちがヘルダーリンの詩にこぞって付曲したという事実がある。つまり、ヘルダーリン再評価には20世紀の作曲家たちが大きく寄与しているのである。また、ヘルダーリンの詩は20世紀の音楽観に通じる特徴を有しており、ヘルダーリンの付曲作品は、20世紀の作曲家の音楽観の一端を明かすことにもなり興味深い。しかし、残念ながら日本においては、ヘルダーリンの詩に付曲された作品が演奏される機会は稀少である。そのため、音楽学会という学術的な場で、ヘルダーリンの付曲作品の演奏を通じて、一括りにはできない20世紀ドイツ歌曲の多彩な側面を提示できることは意義あることだと考える。

 プログラムは、表現主義的な極端な音程や唐突な変化や、楽譜の中にしばしば書き込まれる「中間休止」など20世紀音楽に見られる特徴が、ヘルダーリンの詩の特徴と合致しているということを示すH.アイスラー、P.ヒンデミット、V.ウルマン、B.ブリテンなどの作品、および「わたし」の存在が希薄になる晩年の詩の静謐な世界を見事に体現しているG.リゲティ、W.キルマイヤー、W.リームなどの作品を予定している。さらに演奏者〔藤澤彩子(ソプラノ)、照屋篤紀(テノール)、子安(ピアノ・レクチャー)〕に加えて、畠山 寛氏(ドイツ文学)、中村 仁氏(音楽学)と共に、文学・音楽両面から活発な議論を展開し、ヘルダーリンが20/21世紀の歌曲に与えたインパクトを明らかにすることを目指す。

bottom of page